折り紙作品利用のガイドライン・2012年7月版

羽鳥公士郎

このガイドラインについて

折り紙の文化を発展させるためには、折り紙作品の公正な利用を促進する一方、折り紙作品を不正な利用から保護する必要があります。では、何が公正な利用で、何が不正な利用なのでしょうか。

この問題を考えるには、まず著作権法に依拠するべきでしょう。しかし、現行の著作権法は、折り紙の観点から見たとき、不完全であると筆者は考えます。

制作された折り紙作品は、美術の著作物とみなすことができ、著作権で保護されると考えられます。ところが折り紙は、創作と制作という二段階の創造的行為を含むという点で、作曲と演奏を伴う音楽とも類似しており、筆者を含め多くの折り紙人が、創作された折り紙作品も、音楽における楽曲と同様、著作権で保護されるべきだと考えています。しかし著作権法は、作曲された楽曲を著作物だとする一方、創作された折り紙作品については何も述べていません。

創作された折り紙作品の著作権の有無については、著作権法に規定がないだけでなく、判例もまだ存在しません。そのため、折り紙作品の公正な利用と不正な利用を区別するためには、現行の著作権法に依拠するだけでは不十分です。

そこで筆者は、著作権法を参照しながらも、法的に妥当なガイドラインというより、折り紙文化の発展に資するガイドラインを意図して、このガイドラインを作成しました。

作品の制作に関するガイドライン

他人が創作した折り紙作品を制作する場合、またはそのようにして制作された作品を制作者が展示、譲渡、販売、または撮影する場合、以下のガイドラインに従ってください。

個人、家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で利用する場合例: 居間に飾る、友人にプレゼントする)
作品を自由に制作でき、制作した作品を自由に利用できます。
不特定または多数を対象に、非商業的に利用する場合例: 学校の授業の一環として折り紙作品を折る、学校の行事で無償で配布する、折り紙コンベンションに展示する、作品の写真を自分の個人的なウェブサイトに掲載する)
作品を自由に制作でき、制作した作品を自由に利用できます。ただし、作品の題名、創作者名、制作者名を明示してください。
商業的に利用する場合例: 店頭に作品を飾る、美術館や画廊などで開催される展覧会に出品する、作品を販売する、作品の写真を商業的なウェブサイトに掲載する、作品の写真を使ってCDのジャケットを制作する)
作品を制作するには、作品の創作者から許可を得る必要があります。創作者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)は、自由に制作でき、制作した作品を自由に利用できます。

作品の創作や翻案に関するガイドライン

他人が創作した折り紙作品を基にして作品(折り紙作品に限らず)を創作する場合、以下のガイドラインに従ってください。なお、自分で創作した作品が、たまたま他人が創作した折り紙作品と同じであったりよく似ていたりする場合は、自分で創作した作品を自分の作品として自由に公表し利用できます。

個人、家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で利用する場合(例: 創作の練習として他人の作品をアレンジする)
作品を自由に創作できます。
学校の授業の一環として利用する場合
作品を自由に創作できます。ただし、元の作品の題名と創作者名を明示してください。
上記以外の利用の場合(例: 他人の作品のアレンジを自分の折り紙作品として展示する、折り紙作品を基にして装飾品や装身具を制作し販売する)
作品を創作するには、元の作品の創作者から許可を得る必要があります。創作者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)を基にして創作する場合、創作者の許可は必要ありません。

制作された作品の撮影に関するガイドライン

他人が制作した折り紙作品を撮影する場合、以下のガイドラインに従ってください。

個人、家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で利用する場合(例: 作品の写真を友人に見せる)
作品を自由に撮影できます。ただし、展示会場または作品の所有者からの指示がある場合は、それに従ってください。
学校の授業の一環として利用する場合
作品を自由に撮影できます。ただし、展示会場または作品の所有者からの指示がある場合は、それに従ってください。また、作品の題名、創作者名、制作者名を明示してください。
上記以外の利用の場合例: 作品の写真をウェブサイトに掲載する、作品の写真を使ってCDのジャケットを制作する)
作品を撮影するには、作品の創作者と制作者の両方から許可を得る必要があります。創作者および制作者からの指示がある場合は、それに従ってください。また、展示会場または作品の所有者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)を撮影する場合、創作者の許可は必要ありません。また、制作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品を撮影する場合、制作者の許可も必要ありません。

制作された作品の展示や譲渡に関するガイドライン

他人が制作し自分が所有する折り紙作品を展示、譲渡、または販売する場合、以下のガイドラインに従ってください。

個人、家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で利用する場合例: 居間に飾る、友人にプレゼントする)
作品を自由に展示、譲渡、または販売できます。
作品の創作者と制作者の両方から許可を得て譲渡または販売された作品を、不特定または多数を対象に利用する場合(例: 購入した作品を展示する、購入した作品を売却する)
作品を自由に展示、譲渡、または販売できます。ただし、作品の題名、創作者名、制作者名を明示してください。
上記以外の利用の場合
作品を展示、譲渡、または販売するには、作品の創作者と制作者の両方から許可を得る必要があります。創作者および制作者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)を利用する場合、創作者の許可は必要ありません。また、制作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品を利用する場合、制作者の許可も必要ありません。

講習や実演に関するガイドライン

他人が創作した作品の折り方を講習または実演する場合、以下のガイドラインに従ってください。なお、講習や実演の中で、折り方を表した図や動画などを制作、複製、または翻案する場合、「折り図などの制作に関するガイドライン」および「折り図などの複製や翻案に関するガイドライン」も参照してください。

家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で講習または実演する場合
折り紙作品を自由に講習または実演できます。
不特定または多数を対象に、非商業的に講習または実演する場合例: 学校の授業の一環として折り紙作品を講習する、学校の行事で無償で実演する)
折り紙作品を自由に講習または実演できます。ただし、作品の題名と創作者名、および講習者名または実演者名を明示してください。
商業的に講習または実演する場合例: 受講者が料金を支払う折り紙教室(折り紙コンベンションの教室を含む)で講習する、報酬を受け取って実演する)
折り紙作品を講習または実演するには、作品の創作者から許可を得る必要があります。創作者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)は、自由に講習または実演できます。

講習や実演の記録に関するガイドライン

他人が行う講習や実演を記録(録画、録音など)する場合、以下のガイドラインに従ってください。

個人、家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で利用する場合例: 講習を録画して友人に見せる)
講習や実演を自由に記録できます。ただし、会場からの指示がある場合は、それに従ってください。また、作品の題名と創作者名を明示してください。
学校の授業の一環として利用する場合
講習や実演を自由に記録できます。ただし、会場からの指示がある場合は、それに従ってください。また、作品の題名と創作者名、講習者名または実演者名を明示してください。
上記以外の利用の場合例: 講習を録画してウェブサイトに掲載する)
講習や実演を記録するには、作品の創作者と講習者または実演者の両方から許可を得る必要があります。創作者および講習者または実演者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)の講習または実演を記録する場合、創作者の許可は必要ありません。

折り図などの制作に関するガイドライン

他人が創作した作品の折り方を表した図(折り図、展開図など)や動画などを制作する場合、以下のガイドラインに従ってください。

個人、家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で利用する場合
作品の折り方を表した図や動画などを自由に制作できます。ただし、作品の題名と創作者名を明示してください。
学校の授業の一環として利用する場合
作品の折り方を表した図や動画などを自由に制作できます。ただし、作品の題名と創作者名、図や動画などの制作者名を明示してください。
上記以外の利用の場合例: 折り図を制作して書籍に掲載する、インストラクション・ビデオを制作してウェブサイトに掲載する)
作品の折り方を表した図や動画などを制作するには、創作者から許可を得る必要があります。創作者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)の折り方を表した図や動画などは、自由に制作し利用できます。

折り図などの複製や翻案に関するガイドライン

他人が制作した、作品の折り方を表した図や動画などを複製または翻案する場合、以下のガイドラインに従ってください。

個人、家庭内、20人程度までのサークルなど、特定かつ少数の範囲で利用する場合
作品の折り方を表した図や動画などを自由に複製または翻案できます。ただし、作品の題名と創作者名を明示してください。
学校の授業の一環として利用する場合
作品の折り方を表した図や動画などを自由に複製または翻案できます。ただし、作品の題名と創作者名、図や動画などの制作者名と出所を明示してください。
上記以外の利用の場合例: 折り図を他言語に翻訳して書籍に掲載する、折り図を複製してウェブサイトに掲載する、折り図を基にインストラクション・ビデオを制作する、展開図を基に美術作品を制作する)
作品の折り方を表した図や動画などを複製または翻案するには、作品の創作者と図や動画などの制作者の両方から許可を得る必要があります。創作者や制作者からの指示がある場合は、それに従ってください。ただし、創作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している折り紙作品(伝承作品を含む)の図や動画などを利用する場合、創作者の許可は必要ありません。また、制作者の死後、著作権の保護期間(日本では50年)以上経過している図や動画などを利用する場合、制作者の許可も必要ありません。