K's 折り紙

Fractional Library

折り紙の哲学

折り紙とは何か?

折り紙とは、紙を折ることによる芸術です。折り紙といえば、紙を折って船や動物や花などをつくる、子供の遊びを思い浮かべるかもしれませんが、折り紙は模型をつくることにとどまるものではないのです。私の考えでは、折り紙とは、折る前には紙の中に隠されていた紙の本質を、折ることによって引き出すものです。(詳しくは、私が折紙探偵団ウェブサイトに寄せた論文「折り紙の哲学」を参照してください。)

紙はそれ自体、人が心をこめてつくったものであり、ある魅力を持っています。紙を折るときには、その魅力を損ねてはなりません。さらに、折ることによってさらなる魅力を引き出すことができなければ、折る意味がありません。その意味で、折り紙は料理と似ています。料理では素材の持ち味を最大限に引き出さなければならないように、折り紙では紙の本質を最大限に引き出さなければなりません。そして、最高の料理が人を感動させる芸術になりうるのと同じように、最高の折り紙は芸術になりうるのです。

折り紙では、たとえば足が六本あって羽が四枚と角が五本はえている昆虫といった複雑なかたちを、一枚の正方形の紙から折ることができます。しかし、すべてのかたちは紙の中にすでに用意されているということを忘れてはいけません。紙がその中に含んでいないようなかたちは、いかなる人でも引きだすことはできないのです。その意味で、折り紙は演劇と似ています。演劇における脚本家が、折り紙における創作家に、そして役者が紙に、演出家が折り手に相当します。あなたが紙を思い通りのかたちにすると同時に、紙がどのようなかたちになりたがっているかということを考えなければなりません。

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羽鳥 公士郎